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Coyote No.85 Way to Patagonia

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Coyote No.85 Way to Patagonia / スイッチパブリッシング




未来のための今




最近、自然農の畑の敷地を増やそうと、色々な耕作放棄された場所を巡っている。その放棄された大地に足を踏み込むと、どのくらい歩を進めた足が沈むかでなんとなくそこの場所の豊かさを実感することができる。ブッシュ化した雑草、もはや木になりかけている植物たちを掻き分け先に進むとどの場所でも憩いの場のような雰囲気に出会うことがしばしば。特段人間の手がかかっていないはずなのにそこに生えている植物の植生はどこか他と異なる様相を呈しているのが、なんとも興味深い瞬間でもある。実際にその場所をスコップで掘ってみたりすると、長年自然だけサイクルによって蓄積された植物や虫の亡骸たちの層が厚く降り積もっており、この場所での豊穣をイメージしてしまうのは、果たして人間のエゴなのだろうか。


さて本書『Coyote No.85 Way to Patagonia』では、アウトドアブランド『THE NORTH FACE』の創業者・ダグラス・レインズフォード・トンプキンスと『Patagonia』の創業者・クリスティン・マクディビット・トンプキンスが蘇らせたパタゴニア国立公園についての軌跡や哲学が一冊にまとまっている。その中でディープ・エコロジーの哲学としてこんな言葉が紹介されていた。


”どの種も他の種に対して支配権を持つべきではなく、私たちは生きている世界に対して倫理的な義務を負っている”


この言葉を知り影響を受け行動に移したダグラス・レインズフォード・トンプキンスと同様に、誰しもハッとさせられる言葉なのではないだろうか。私たちは先史以来、自然と自分を別のものとして捉え、自分たちが自然の一部であるということをどこか別の場所に置いてきてしまっている気がする。


そう憂いても仕方がない。

大切なのは未来のために今をどう生きるかだ、と本書の中からの言葉を引用したい。

この一冊にはそんなことに気づかせてくれる言葉を見つけられるはずだ。



【CONTENTS】



Way to Patagonia

未来に向けて、旅をする


南米パタゴニアの原生の森を歩く。早朝、水の冷たさを指先で感じる。季節の移ろいを、頬を伝う風を通じて読む。かすかに湿気を発見し、静謐な森で感じる野生動物の気配に畏れを抱く。地球のどまんなかをこの場所で意識する。



INTERVIEW

野生とは。

クリスティン・マクディビット・トンプキンスに学ぶ

文=新井菜津 写真= James Q Martin & Linde Waidhofer


ダグとクリスの南米パタゴニアにおける自然保護活動によって、チリとアルゼンチンで合計13の新しい国立公園が設立され、その面積は1400 万エーカー以上に及んでいる。1990 年にこの地を訪れたことからはじまるこの活動についてあらためてクリスに訊いた。




受け継がれる挑戦へのバトン

『WILD LIFE 大自然への讃歌』

クリス・トンプキンスが、夫ダグ・トンプキンスを不慮の事故で失った悲しみに決別した旅を追う、ドキュメンタリー映画『WILD LIFE 大自然への讃歌』について。




INTERVIEW

色褪せない日々

ゲイリー・レジェスター

文=奥田祐也 写真=朝岡英輔


伝わる写真とはどのようなものだろうか。 1970 年代初頭、ブランド黎明期のパタゴニアを写真に収め、 現在のパタゴニアのイメージ写真の礎を築いた写真家が、当時を振り返る。




Fishing and Simplicity

釣りと自然にまつわるイヴォン・シュイナードの教え

構成= Coyote 編集部 写真=阿部稔哉


自然でより遊べ、イヴォンの大切なフィールドの心得だった。釣りはもっとも自然を理解するアクティビティだと彼は言う。悠久の大地で、原生林の広がる森を流れる川に生きる魚を釣る。




Patagonia

地球を救うための新たなる到達点

最高のフィッシング・ウェーダーとともに

文=若林輝 写真=ただ


2025 年春、パタゴニアは長年の目標としてきたプロダクトからの PFAS(有機フッ素化合物)完全撤廃を実現する。 最高のフィッシング・ウェーダーとともにたどり着いたのは、 地球を救うための新たなる到達点だった。




黒松内町

つながり、そこに在るもの

文=若林輝 写真=奥田祐也


北海道南西部にある黒松内町は、面積の 8 割が森に覆われている。町を貫流する 43.5km の朱太川の本流には、ダムや堰堤がないため サクラマスが森と海を行き来し、自然に近い川の状態が保たれている。 人は自然とどう関わっていけばいいのだろう、その最適解を求めて“森のダム”ブナ林に抱かれた冬の黒松内町を旅する。




イッセー尾形 賢治の視点で世界をのぞく

写真=浅田政志 文=土谷みずき


俳優イッセー尾形の新著『人情列車』が4月に刊行される。宮沢賢治と向き合って創作を続けてきたこれまでを振り返りながら、今後の一人芝居への展開についても話を訊いた。

<そのほかのコンテンツ>

●ESSAY

優雅な美しいプロジェクト

イヴォン・シュイナード


●INTERVIEW

坂本麻人 サクラマスのラストワルツ


●連載最終回

賢治再訪としての「ある田舎の秘話」

イッセー尾形


●Foxfire True to nature Vol.19

佐藤大史


●最初の一歩 第85回

信濃八太郎

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