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チョコレート・ガール探偵譚

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チョコレート・ガール探偵譚 / 著者・吉田篤弘 / 平凡社


この『チョコレート・ガール探偵譚』は、平凡社の出版する『こころ』に連載されていた作品で第一回目の掲載は2016年の冬だったそう。
古びた映画のチラシに載っていた『チョコレート・ガール』という映画タイトルに惹かれ、そのタイトルの言葉を唯一の手がかりに2年間にも渡ってその探索の経過をまとめた“物語”となっています。

 

そうです。これは作家・吉田篤弘さんのフィクションの物語ではなく、吉田さん自身の実体験その“もの”が語られています。謂わば『調査記録』といったところでしょうか。2016年当時ももちろんインターネット検索は誰しもが行なう行為であったにも関わらず、あえてそれを行なわずに、映画評論などの古い本などに強い古本屋を巡って関連した資料を見つけその記事の文章から次の手がかりを見つけ出す。

こう文字にしてみると、まさに探偵然とした著者・吉田篤弘さんの思考の癖が浮かんできます。


そんな吉田さんこうも語っています。


ぼくはいつでも架空よりも現実の方が、ずっと物語的で、おかしく、悲しく、奇妙で、怖いと感じているからで、今回のような本は、とりわけそうした現実の豊かさを伝えたくて書いたのです。できれば、こうしたスタイルのものを、今後も積極的に書いていきたいと思っているので、「これは本当にことです」と書いたときは、どうか言葉どおりに受け取っていただけたら幸いです。(『金曜日のラジオ2』より)



『チョコレート・ガール』という映画もそこに出てくる役者さんたちも全て実在する人物たちです。本書を手にしたみなさんにおかれましては、決して先んじてそれらをインターネットで検索することは是非お控えいただき、吉田さんと一緒にこの不思議な探索の旅を楽しんでいただきたいと思います。



吉田篤弘

東京都出身の作家。妻の吉田浩美との共同名義クラフト・エヴィング商會としても活動し、著作およびデザインの仕事をしている。 2001年、クラフト・エヴィング商會の仕事として『稲垣足穂全集』『らくだこぶ書房21世紀古書目録』により第32回講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞。

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