カステーラのような明るい夜 / 著者・尾形亀之助、編者・西尾勝彦 / 七月堂
宮城県出身の詩人・尾形亀之助。
幼い頃から持病の喘息を抱え、若くして亡くなった尾形亀之助の残した詩を再編集してまとめられたのが、この「カステーラのような明るい夜」です。
作風は短い詩が多く、叙情的で、どこか夢のような世界が広がります。
尾形亀之助自身が体験した感覚を言葉で表現している情景は、『文章の絵画』とも言えるのではないのでしょうか。
自分が経験、体験したことではないけれど、どこかでそれを感じたり見たような不思議な感覚になってきます。
本書を開き、文章をたどっていると、読み手自身の無意識に感じていたことが言葉により引き出され、それを一枚の絵画として客観的に眺められるような不思議な詩集になっています。
さて、本書の装丁を描いているのは、面影 book&craftの店主が大好きな吉田篤弘さん、浩美さん夫妻のユニット『クラフト・エヴィング商會』。
お二人が織りなす物語の世界観ともリンクしたとても美しい一冊です。