深澤直人のアトリエ / 著者・深澤直人 / 平凡社
何が心地がよいのか
いつか自分1人だけが篭れる一室の小屋が欲しいと思っています。
そこで好きな音楽をかけ、間接照明の中コーヒー片手に1人がけのソファーに腰掛け、難解な内容の本を何度もウンウンと唸りながら読み返し読み進めるなんていうのが理想だったりします。
そういった意味では、アトリエという言葉の響きに近いのかもしれません。
ポール・スミスが求めた休息小屋「Paul’s Shed」が理想のイメージなのです。
さて、本書『深澤直人のアトリエ』は世界的なプロダクトデザイナーの深澤直人氏が自身で建てたアトリエについて一冊を通して振り返っていくような内容となっています。アイデアを構想しどのような部分にこだわりを持って建てられたのかが写真と文章でまとめられています。
デザインとは、間を心地よくすること
デザインとは、手入れができること
デザインとは、何が心地よいか考えること
自身の美意識が奮い立たされるような一冊です。
<目次>
アトリエが欲しかった
子どものときに描いた家の絵
デザイナーだから自分の家を自分でデザインする
自分でデザインしたものだけに囲まれて暮らすということ
借景
創発
思っていると土地は見つかる
グランドレベル(GL)を目線にあわせる
窓のかたちにこだわった
窓のだき
窓からもれる灯り
入り口の前の桜
みんなが周りに住めばいいと思った
アンビエンス
キッチンにみんなが自然と集まる
一緒にデザインする人との疎通
常に原寸で考える
建築は中毒になる
厳しい条件や規則のパズルを解くのが好き
本物の素材しか使わない〔ほか〕
深澤直人
日本のプロダクトデザイナー。2014年より、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科教授。