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なしのたわむれ: 古典と古楽をめぐる手紙

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なしのたわむれ: 古典と古楽をめぐる手紙 / 著者・小津夜景、須藤岳史 / 素粒社


言の葉の情景交換


あなたは見知らぬ人に手紙を書いたことがありますか。私は記憶を辿ってみてもそういったことは今までの人生の中ではなかったように思えます。手紙の送り先には見知った顔があり、お互いの波長やテンポなどを知り合っている中でやり取りされるメディアなのかもしれません。


本書『なしのたわむれ』はフランス・ニース在住の俳人「小津夜景」と、オランダ・ハーグ在住の古楽器奏者「須藤岳史」に夜24の往復書簡をまとめた一冊になっています。日本の地を離れ異なる場所に住み異なる芸術を生業にしている両者が織りなす言葉が互いを知らないという状態で始まった往復書簡なのですが、いち書簡づつ2人の距離感が心地よいものになっていき、その間で不思議なハーモニーが奏でられていることに気がつくはずです。相手からの情景を纏った言葉のやり取りは、期待と記憶のあわいを感じまだ見ぬ世界や異なる芸術分野へのリスペクトを互いの中に感じているのではないでしょうか。

言葉は気持ちの断片です。一つの言葉では言い表せない感情も2人の言の葉を組み合わせていけばそこでしか浮かび上がらない情景が想起されていくのかもしれません。

一つの書簡がエッセイ風にまとまっているので、エッセイとして読んでもよし。

もちろん2人のハーモニーを感じてもらうのもよしです。



<目次>

はじめに

第 1 信 きらめくらくがき
第 2 信 耳は意味を探してしまう
第 3 信 なしのたわむれ
第 4 信 辺境への誘惑
第 5 信 ことばはこばと
第 6 信 音のこどもたち
第 7 信 ありやあらずと
第 8 信 詩と道と
第 9 信 存在の青い灰
第 10 信 片隅と世界と
第 11 信 ゆめにめざめる
第 12 信 この地上で

第 13 信 日曜日の午後の軽い手紙
第 14 信 文と不死
第 15 信 うちのそと
第 16 信 ふわふわふうみ
第 17 信 未来を読むこと
第 18 信 ものがたりのはじまり
第 19 信 隠された接続詞
第 20 信 みえないたくらみ
第 21 信 間の呼吸
第 22 信 わたしのあだしの
第 23 信 限りない広がりと空白
第 24 信 ふりだしにもどる

おわりに

おもな引用・参考文献



小津 夜景
1973 年北海道生まれ。俳人。2013 年、連作「出アバラヤ記」で攝津幸彦賞準賞、2017 年、句集『フラワーズ・カンフー』で田中裕明賞受賞。漢詩の翻訳を添えたエッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』がある。ブログ「小津夜景日記


須藤 岳史
1977 年茨城県生まれ。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。演奏活動の傍ら「望星」「三田文学」「現代詩手帖」「図書」 等に書評や随筆を執筆。共著に『未明 02』『原民喜童話集』等がある。 CD:The Spirit of Gambo “The Silver Swan”(STOCKFISCH‐RECORDS)、Le Jardin Secret “Airs Sérieux”(Fuga Libera)等。

 

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