だれでもできる 小さい田んぼでイネつくり / 著者・笹村出 / 農山漁村文化協会
小さく始める第一歩
2024年の夏、スーパーの店頭からいつもあるはずのお米がなくなった。お米が並んでいた棚はもぬけの殻。お米が食の大半を占める我が家にとってはまさに死活問題、普段そこにあるものだと勝手に思っていたものが姿を消したその光景は焦りよりも悲しさの方が大きかったように思う。
そんなこともあり、この“令和の米騒動”の後から妻ともことあるごとに、そろそろお米を自給用に作ろうかと夢物語ではなく真剣に考え始めていた。妻は移住後から信州・上田が誇る棚田『稲倉の棚田』の保全委員として稲作の手伝いを年間通して行っているので、その作業内容や一粒のお米を収穫するまでの大変さやその労力に天秤にかけられないほどの美しさを知っている。
そういった自分を取り巻く環境や今まで生きていく中で知らずに刷り込まれていた稲作=農家でないとできないものという固定観念が頭の中にこびりついていたが、いざいよいよ自分たちでやろうかという話が頻繁に出てくると、意外に小さく始めるやり方というものがあることに気がついた。
それが本書『だれでもできる 小さい田んぼでイネつくり』だ。著者の笹村さんが小田原の300平米の田んぼで実践してきた有機の小さな田んぼでの経験がこと細やかにまとめられている。
小さい田んぼを借りて始める人に。学校田にかかわる人に。農家が読んでもおもしろい!小さい田んぼだからこそ、楽しみながらたくさんとりたい。手間をかけるところにはかけ、ラクできるところはラクをして、100平米で60kgとれる技術を公開。
小さな一歩を踏み出したい方へのエール、そしてお守りになるような一冊。
<目次>
第1章 小さい田んぼは昔のイネつくり(イネつくりは日本の伝統文化;田んぼとイネが暮らしを安定させてきた ほか)
第2章 田んぼの借り方・始め方(どうやって田んぼを借りるか;どんな田んぼがよいのか ほか)
第3章 小さい田んぼのイネつくりの基本(100m2 60kgとれるまでのステップ;大苗をつくる ほか)
第4章 小さい田んぼはイネつくりの実際(田んぼは春分の日に始まる;苗代つくり ほか)
第5章 さらなる安定多収のために(自家採種を行なう;天候を読む ほか)
笹村出
1949年山梨県藤垈で生まれる。1986年神奈川県山北町で開墾生活を始める。1990年自然養鶏園「あいらんど」を設立する。1993年「あしがら農の会」を設立する。1999年神奈川県小田原市久野で田んぼを始める。2019年石垣島に移住。小田原との2拠点生活を始める。