すべてきみに宛てた手紙 / 著者・長田弘 / 筑摩書房
あなたへの手紙
本書『すべてきみに宛てた手紙』は様々な雑誌や小冊子での著者・長田弘さんが書かれたエッセイを再編集して手紙というカタチでまとめられた一冊です。39通の手紙の宛てはすべて『きみ』という一見誰か特定された人称でありつつも、不特定多数というような少し曖昧な人称宛に書かれています。
長田さんは後記にこんな言葉を残しています。
「文字を使って書くことは、目の前にいない人を、じぶんにとって無くてはならぬ存在に変えてゆくことです。」
じんわりとこころに広がっていく長田弘さんの言葉に浸りながら、あなたにとっての『きみ』を見つけてみてはいかがでしょうか。
長田弘
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。