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アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション

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アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション / 訳者・岸本佐知子、柴田元幸 / スイッチ・パブリッシング


現実から半歩向こうの世界


アンソロジー(anthology)とは、複数の作家が特定の題目(テーマ)で手掛けた作品をまとめた「選集」のこと。


本書は翻訳家の柴田元幸さんと岸本佐知子さんが、厳選した日本では全く、あるいはほとんど紹介されたことのない現代英語圏(イギリス、アメリカ、カナダ)の作家の短編をそれぞれが4つずつ選んだアンソロジー集です。選んだ作品はそれぞれが打ち合わせなしに最近気になっている作家を選んだようですが、なぜか作品から漂ってくる空気感が近しく感じられました。


柴田さんが責任編集を務める雑誌MONKEYも何度か手にしたことはあるのですが、何かその際はあまりしっくり来ずで継続的に読むのをやめてしまいましたが、そのMONKEYの手法を用いているようで、それぞれが選んだ一つずつの作品が終わると間に「競訳余話」という対談も設けられていて、まるで映画を観た後に友達とカフェでコーヒーを飲みながら語り合うかのよう。そして二人の掛け合いの中から訳した作品の時代背景や、実は本当はこうなんじゃないかという訳には載せられないそれぞれの個人の見解、推察なども綴られているので、ページを戻してもう一度作品を読み返せば、物語に対する解像度はグッと高まるはずです。


数々の名著を翻訳している二人が選ぶ海外文学の世界の扉が開かれているようで現実から半歩先の向こう側に二人が優しく連れていってくれるはずです。海外文学が好きな方も、はじめて読む方も楽しめる方も是非。


<収録作品>

岸本佐知子 訳
「オール女子フットボールチーム」ルイス・ノーダン
「アホウドリの迷信」デイジー・ジョンソン
「野良のミルク」「名簿」「あなたがわたしの母親ですか?」サブリナ・オラ・マーク
「引力」リディア・ユクナヴィッチ


柴田元幸 訳
「大きな赤いスーツケースを持った女の子」レイチェル・クシュナー
「足の悪い人にはそれぞれの歩き方がある」アン・クイン
「アガタの機械」カミラ・グルドーヴァ
「最後の夜」ローラ・ヴァン・デン・バーグ



岸本佐知子
翻訳家。最近の訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』など多数。編訳書に『変愛小説集』『居心地の悪い部屋』『楽しい夜』など。著書に『なんらかの事情』『ひみつのしつもん』『死ぬまでに行きたい海』などがある。2007年『ねにもつタイプ』で第23回講談社エッセイ賞を受賞。


柴田元幸
1954年生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、ブライアン・エヴンソンなどアメリカ現代作家を中心に翻訳多数。著作に『ケンブリッジ・サーカス』、訳書にジャック・ロンドン『犬物語』、マシュー・シャープ『戦時の愛』などがある。2017年、翻訳の業績により早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。

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