台所と食卓の名脇役: 食にまつわる道具たち / 著者・細萱久美 / 淡交社
美味しい道具たち
包丁にまな板、ボウルに鍋やフライパン、そして料理を盛るお皿など、日々、台所や食卓で活躍する道具というものはたくさんあるはずです。自分がずっと使っているから手馴染みがあってずっと使っている方も多いのではないでしょうか。
本書『台所と食卓の名脇役』に掲載されている食にまつわる道具たちもまさしくそういった視点で様々な道具がまとめられています。道具をセレクトしているのは、日本の工芸や手仕事をプロダクトとして提案しているショップの中川政七商店でバイヤーを長らく務めていた細萱久美さん。現在はセレクトショップを主催する細萱さんが普段づかいする「育てていく楽しみがあり」「機能ゆえに生まれたデザイン性をもつ」道具を中心に1ページから2ページで一つの道具を紹介するスタイルでまとめられています。
ただ単に、道具の作りや機能を語っている訳ではなく、細萱さんの生活スタイルからなぜこの道具が良いのか、そして忌憚なくデメリットもしっかりと書いてくれていることがとても印象深く、信頼ができると感じます。
紹介されている道具のすり鉢の箇所が顕著でしたが、機能だけにフォーカスすればフードプロセッサーなど代替するものは数多くあります。けれど少しの手間を厭わずしっかりと作られた道具で調理をするとやっぱり味が異なるのだということがわかってきます。
新たな生活を始めるタイミングや暮らしを見直したい時に手に取りたい一冊です。
美味しい道具たちがたくさんありますよ。
<目次>
ライスクッカー
蓋碗
固形の台所用洗剤
アイヌの木彫り盆
中華せいろ
リネンのキッチンクロス
備前焼のすり鉢
銅の玉子焼き器
漆塗りの皿
琺瑯の保存容器〔ほか50アイテムを厳選〕
細萱久美
東京都武蔵野出身。奈良市在住。お茶の専門商社の企画職、日本の工芸を扱う中川政七商店のブランドマネージャー&バイヤーを経て、2018年「まるや」設立。現在は「お茶と工芸」のショップ店主及び、国際薬膳師として食養生を伝える教室の開催などを行う。また、メーカーや小売店のブランディング、商品開発などのサポート業を通じてモノづくりにも関わる。旅先ではローカルな食材や食品のチェックを怠らない。家庭菜園、そして猫との暮らしに憧れている。著書に『函と館』(平凡社)。食のプロが集まる『味のカレンダー』(味の手帖社)にも参加。