喫茶店で松本隆さんから聞いたこと / 著者・山下賢二 / 夏葉社
松本隆の言の葉
昭和歌謡曲をよく聞きます。
当時のアイドル、フォーク、グループサウンズなど曲調は、今の時代のものと比べるとゆっくりとして単調ですが、すんなりと歌詞で歌われた世界の中に身を置くことができること、つまり歌詞の中の奥行きなどを感じることができるのがとても好きなのです。よくよく調べてみると阿久悠や筒美京平など作詞家という職業としてしっかりと名の立っているがアイドルの曲などの作詞を手掛けているということに驚きます。
そして松本隆。伝説の日本のロックバンド『はっぴーえんど』でドラムを務め、解散後は太田裕美に松田聖子など錚々たる面々の楽曲に作詞家として携わり期代のヒットメーカーとなったことは皆さんご存知のはずです。そして中でも好きな歌謡曲を手掛けているのが『松本隆』だったと後に気がつくのです。
本書は京都でホホホ座という書店を営む山下賢二さんが、京都の喫茶店で松本隆さんから聞いたことをまとめた一冊になっています。作詞家やバンドのことはもちろんのこと、お金のことや偶然について、そして遡ることの大切さなどについてをこれまでの人生などを振り返りながら語ってくれています。
中でもこんな言葉が個人的には刺さりました。
・才能は神様からの借りもの
・ただの偶然って意外とない、何かで用意された必然
・合理性なんかよりヒューマニズム
・理論はうらまれるだけ
なぜかいつもぶつかってしまう同じような壁を乗り越えるための手掛かりになりそうな言葉たちです。
読み終えるとなぜかスカッとして朝の空を見上げたくなる、そんな一冊です。
山下賢二
1972年京都生まれ。21歳の頃、友達と写真雑誌『ハイキーン』を創刊。その後、出版社の雑誌編集部勤務、古本屋店長、新刊書店勤務などを経て、2004年に「ガケ書房」をオープン。外壁にミニ・クーペが突っ込む目立つ外観と、独特の品ぞろえで全国のファンに愛された。2015年4月1日、「ガケ書房」を移転・改名し「ホホホ座」をオープン。編著として『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)、『ガケ書房の頃』(夏葉社)などがある。
松本隆さんの作詞のプレイリストも合わせてお楽しみください。