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Vacant/Edition #1 場のはじまり Placeology

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Vacant/Edition #1 場のはじまり Placeology / 著者・永井祐介 / VACANT



文化空間学 - 場のはじまり -



信州・上田に移住してショップを始める前に色々な仕事をやってきました。初めての仕事は大手通信会社での営業。そしてサラリーマンという鎧を脱いでフリーランスで様々な方たちと仕事をしていく中で2010年代後半からは、いわゆる『場づくり』と表現されるような仕事をしてきました。ある時はそれの中心を『学び』というコンセプトで学びの場をつくり、またある時は『豊かな暮らし』などといったコンセプトでマーケットをつくったりしていました。世の中あふれる情報や現象の中で自分たちがまず何に光を当てるのかといったキュレーションをただひたすら考え続け、それをどんなふうにしたら実現できるのかといったことを、夜な夜な話し合った経験はわたしのまさしく青春であり、今の自分を形づくる何かになっているのだろうと感じています。

中でもマーケットという場を企画・運営している時には、そこに集まってくる人たちとそれをオーガナイズしている出店者さんたちの間で作用しあい、なんとも言い難い空気感がそこに立ち現れることが印象的で、それは例えるならスポーツ観戦で得点が入って最高潮に盛り上がった瞬間が長く続いているような、空間の蠢きのような状況なのです。これを一度体験してしまうと、またこの空気感を作りたいと病みつきになってしまうのです。これが場の持つチカラといっても良いのではないのでしょうか。


さて、本書シリーズ『Vacant/Edition』は東京・代々木八幡を拠点に活動する、Vacantの日々の営みをアーカイブしながら、新たに掲げる〈文化空間学/ Cultural Placeology〉について考察を深めていくための出版物です。

1号目の今回は、『場のはじまり/Placeology』と題して、〈文化空間学〉への出発点となるエッセイの他、インタビュー記事、過去のVacantでの展示のアーカイブを掲載しています。


こうした内容の本だと、実際に場づくりをしている方たちにインタビューをして掲載していくというのがほとんどだと思いますが、本書がユニークなのはこの『場』というものをアーティストや写真家の視点から捉えていることだと思います。それもムービーなどではなく、その場の瞬間を捉えるスチール写真家からの視点を得られるのは、本当に貴重な内容なのだろうなと思います。


文化的な場を創造してみたい、興味がある方はぜひ本書をご一読ください。

きっとヒントが詰まっていると思います。


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本誌より「まえがき」

Vacant/Editionは東京・代々木八幡を拠点に活動する、Vacantの日々の営みをアーカイブしながら、新たに掲げる〈文化空間学〉について考察を深めていくための出版物です。様々な人、コト、モノとの出会いを通じて、「場づくり」という不定形な創作を続けてきた自分にとって、視覚的なアーカイブに残していくことは、他者とのコミュニケーションの道具を拵えることであり、自身の営みを俯瞰して、次に続く道を踏み均すためにも非常に重要な手段です。それを質感や質量を伴った印刷物として具現化することは長年の願いでした。ただし、その〈場〉に在る空気感や気配、瞬間に宿る複雑さは、なかなか再現し切れないものです。だからこそ、この媒体(メディア)でしか表現できないような「場づくり」の可能性を探求しながら、ここには収められないものの存在にも、想いを馳せていきたいと思います。あらたな場のはじまりへ、あなたの場のはじまりに。
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本誌より「文化空間学/Cultural Placeology 前文」
〈文化空間学/Cultural Placeology〉とは、ある〈空間〉を特定の〈場〉に変容させる、文化的なモノやコトとその関係性を巡る考察と実践である。文化空間学における理念は、我々が断片化された価値観に陥ることなく、本来持っているさまざまな価値を関係づけるポリフォニックな感覚を用いて、人間の根源的な営為としての文化を捉え直し、生の全体性を個々人が取り戻していくことにある。


<目次>

I. 文化空間学 #1 「空間と場」| Cultural Placeology #1 “Space and Place”
永井祐介 Yusuke Nagai


II. 救いの編まれる場―文化空間学をめぐって | Where Relief is Weaved: On Studies of Cultural Placeology
渡辺文 Fumi Watanabe

February 2024


III. 空く | Su-ku
明主航 Wataru Myosyu


IV. 言葉を探して | Looking for Words
佐内正史 Masafumi Sanai


V. Heavymetal
永井誠治 Seiji Nagai


VI. Strata #2―路の途上で | In the Road
三好耕三 Kozo Miyoshi


VII. Aftertime
マグダレナ・スクピンスカ Magdalena Skupinska



Art Direction, Design&Edit:Yusuke Nagai/Vacant
Translation: Kana Ikezawa

Proofreading: Umitaro Kan
Design Support: Rin Takehiro Coordination

Support: Rina Tokura Assistant

Editor: Taku Yoshida

Photography: Yusuke Nagai/Vacant Published by Vacant




Vacant
ある空間を「場」へと変容させる、文化的な営みの考察と実践のため、2009年に東京・原宿にプロジェクトスペース「Vacant」をオープン。10年間の活動を経て2021年に新たな拠点「Vacant/Centre」を設立。Centre/Multiple/Worksを活動の軸として、多様な「場づくり」(=Place Design)を進める。

Centreは東京・代々木八幡神社近くに位置するVacantの活動拠点。自社設計の本棟5フロア/別棟2フロア内の、Vacantのアトリエを含むさまざまな用途のスペースで、多様な「場」が醸成していく活動を行っています。オープンデイと各イベント開催時のみご来場頂けます。

MultipleはVacantのオリジナルプロダクトレーベル。家具や服、小物など、そのモノをつかう・着る・飾る時に生まれる「場」に想いを馳せながら制作しています。現在は不定期開催の受注会での販売を基本に、限定数をオンラインにて展開しています。

Worksがおこなうクライアントワーク、その他の活動を指します。プロジェクトに応じて空間/プロダクト/グラフィックデザイン、キュレーションなどを横断的に扱いながら、特有の「場」を構成することを目指します。</span>

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