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日常をうたう 〈8月15日の日記集〉

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日常をうたう 〈8月15日の日記集〉 / 作者・椋本湧也、装丁・古本実加、装画・三瓶玲奈



人生の断片



8月15日というと、小学生だった幼かった頃は、ちょうど信州・上田の祖父母の家に帰省中の最終日と重なることが多かったように思います。この地域特有なのかウチがそうしていただけなのか分かりませんが、その日に祖父母や両親はもとより従姉妹や叔父叔母なども含めて大家族総出で皆で送り盆の儀式をして先祖にお別れをしました。

祖父母はすでに現役を引退していて畑で農作業などを勤しみ、そこで採れた新鮮な野菜など美味しい料理をたらふく食べた1ヶ月間は子どもたちだけでなく、祖父母がいるため大人たちも日常の”親”という仮面を少しだけずらして、解放された子どもだった頃の素顔が垣間見れる瞬間があったりしたのがとてもこころに残っています。そんなこともあり、1ヶ月近くお世話になった祖父母とも別れなくてはならない、この日を少し寂しい気持ちで迎えているのだなという印象でした。

そして帰りの特急で東京に帰るために手渡されるのが、祖母が握った自分たちの畑で採れた梅を漬けて作ったとても酸っぱいカリカリの梅干しが散りばめられたおにぎり。似たようなおにぎりを未だに見かけたこともないので、今は亡き祖母の味としてわたしの記憶の中に大切にしています。

この日は、世間では謂わゆる”終戦記念日”とされているものですが、わたしにとっては、そんな少し寂しい気持ちとカリカリ梅のおにぎりの酸っぱい記憶なのです。


さて、本書『日常をうたう』は、『26歳計画』や『それでも変わらないもの』の作者でもある椋本湧也さんの3作目となる作品です。本作のテーマは「8月15日」。

本作でも様々な方々の寄稿文が編纂されていますが、ルールは以下の通り。


〈ルール〉

1.戦争をめぐる祖母との会話を聴いてください。

2.その上で「8月15日」の日記を書いてください。

3.日記を朗読してください。


94歳の椋本さんのお婆様の話を聞き、そして27名の若者たちが綴った「8月15日」の日記集に目を通してみると、大それた特別な日などは1日もなく、そして1日1日が尊い特別な日のだなと感じてくるはずです。


戦時下の記憶をめぐる椋本さんのお婆様へのインタビューと、寄稿者による日記の朗読を収録した『音声版』を聞きながらページをめくってみてください。


"日本では戦争を体験した世代が数を減らし、離れた土地では戦争が長期化するいま。戦争を体験していない私たちには何ができるだろう。94歳の祖母に話を聞くと、戦争が終わって最も嬉しかったのは「部屋の電灯が明るいこと」だったと教えてくれた。そしてこう思った。戦争とは日常を奪うものであり、なにげない日常こそが私たちを存在させてくれているのではないか、と。"

(「はじめに」より)


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