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諏訪の神さまが気になるの

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諏訪の神さまが気になるの 古文書でひもとく諏訪信仰のはるかな旅 / 著者・北沢房子 / 信濃毎日新聞社


信州に移り住んで驚いたことの一つに、天照系の神社の数が少ないということでした。そのほとんどが諏訪系の神社だったのです。生活している分には特に何があるわけでもなく、信仰が根強く生活に紐付いていることもないので全く実感としてはありませんが、そこの土地の人たちが今まで信じてきた神さまが関東圏のそれとは異なる世界観なのだということを感じ、神社の拝殿の配置や建物の建築構造が異なるので自然と興味がそそられていきました。


それが何だか不思議で気になりはじめて調べはじめたら止まりません。

好奇心や探究心がくすぐられ調べてるなかで、建御名方神が出雲国から越後から信濃川・千曲川を登って諏訪方面に大和国から追われてのぼっていったところに諏訪系の神社が多いという説があったり、その場所で製鉄の技術を伝授していったりというのを見つけて、ああ確かに製鉄や板金加工をやっている工場が近くに多い気がするな、なんて妙に踵を打ってしまいました。


この説が絶対ということは必ずしもないと思いますが、この一冊『諏訪の神さまが気になる』は古文書からそこに出てくる登場人物たちの関係性を紐解きながら諏訪信仰を解き明かしていきます。著者は古文書ビギナーの方で、漢字の行列を必死で読み解き、数多の専門家に教えを請いながら、諏訪の神さまの人気の秘密を体当たりで探ってまとめています。切り絵のようなポップなイラストもついていてとても分かりやすく諏訪を知るための入門書としてもおすすめです。



<目次>

【建御名方神の巻】諏訪大社の祭神は意外に複雑

 まずは『古事記』をひもときます/いろんな神さま大集合?/捨てない!諏訪の特殊性

【大祝の巻】神さまだけど神じゃなかった?

1諏訪に現人神がいた

 上社と下社はなぜ分かれたか/神氏の始祖、有員登場/現人神になるための3ステップ

2武士の時代の大祝

 武士としての諏訪氏/諏訪氏の二大スター、頼継と円忠/大祝が起こした大事件/現人神を出す家の終焉


【神長の巻】勝ち残るカギは記録と心得よ

1筆頭神官としての誇り

 守矢氏とは何者か/“秘すべし”お役目の危機/果てしない禰宜との争い/

278代がつないだ重み

 神長がどうしても欲しかったもの/信玄とのドライな蜜月/そして守矢家は残った/現当主が語る諏訪への思い


【ミシャグジの巻】降ろして付けて、また上げて

1ミシャグジって何?

 ミシャグジと呼ばれるもの/ミシャグジをめぐる神長の特権/

2ミシャグジ神事は何のため

 特別なミシャグジのお役目/「豊作と奉仕」は神さまとの契約/ミシャグジだけがタタルのか/前宮はどこにあったか

3現代に生きる諏訪信仰

 今も空にあるミシャグジ/御渡りの全国展開


【コラム】気になる出雲紀行/気になる糸魚川紀行


北沢房子

1958年上田市生まれ。出版社勤務の後、文筆家。著書に『信州魅惑の寺』『信州着物暮らし十二カ月』『和顔愛語を生きる』(256世天台座主の聞き書き)など。長野市在住。

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