小さな家―1923 / 著者・ル・コルビュジエ、訳・森田一敏 / 集文社
世界的な建築家のル・コルビュジエ。
彼が30代の若かりし頃に自身の両親のために作った家について写真やデッサン画を用いて一冊にまとめられています。
彼が手がけた有名な美術館などの大きな建築に目が行きがちですが、この家はわずか60㎡の本当に小さな家ですが、今も『近代建築の五原則』として様々な建築家に影響を与えている『ピロティ』『自由な平面』『自由な立面』『独立骨組みによる水平連続窓』『屋上庭園』などの萌芽がこの家から見出すことができます。
特に屋上庭園の描写は庭園環境は用意しておき、あとは種を落とす鳥たちや自然のあるがままに委ねているところがル・コルビュジエの優しさや余白の部分なのかなと読んでいて感じました。
その他にも素敵なアイディア・プランが詰め込まれています。
時代をこえて、人間の奥深くに眠ってる感性を呼び起こしてくれるような、慎ましくホッとする内容です。
建築などに詳しくない方にもル・コルビュジエの入門書としておすすめの一冊です。
ル・コルビュジエ
ル・コルビュジエは、スイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家。本名はシャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ。 モダニズム建築の巨匠といわれ、特にフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられる。