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プレイ・マターズ 遊び心の哲学 (Playful Thinking)

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プレイ・マターズ 遊び心の哲学 (Playful Thinking) / 著者・ミゲル・シカール、翻訳・松永伸司 / フィルムアート社


遊びとは世界を考える行為



幼い息子と遊んでいると度々様々なことに気づかせてくれます。1歳を過ぎた頃から、それまではモノの感触を五感、特に口で実感するような遊びが多かったように思いますが、それが段々と自分の中の一定のルールがあるかのような所作に変化してきたのです。しかし、目的とする遊びに向き合っている中、外部からあらゆる刺激、例えばそれがまた別のおもちゃなんてこともしばしばなのですが、そちらの方に気が移ってしまい別の遊びをはじめるなんてこともよく起こります。そのきっかけがおもちゃの時もあれば、置かれている空間がそうさせているということもあるのでしょう。いずれにせよ、彼にとっては没頭の連続なのです。少なくとも、彼の中の世界が遊びを通して何かしらの広がりが生まれており、それを大人という立場で改めてその変化を見られるということはとても貴重で有り難いということなのかもしれません。


『遊びとは楽しみ、楽しさの中にある自己感覚で、他者と関わる方法。』


これは、数年前自分が本書『プレイ・マターズ 遊び心の哲学 (Playful Thinking)』を読んだ時のメモ描きの初めに書いた一文でした。本書は、現代ゲームスタディーズの第一人者、ミゲル・シカールによる新時代の「遊び」の哲学がまとめられている一冊です。


なぜ遊びが重要なのか?
なぜわたしたちは遊びを必要としているのか?
そもそも、遊びとはいったい何なのか?

自分たちが小さいな頃から無意識に行なっている遊びというものを様々な角度から掘り下げて言語化されており、物、空間、人間、人間関係など多様な事柄が関わる「遊びの生態系」全体の観点から遊びをとらえていくことの重要さを提示してくれています。


メモ描きの最後にはこんな言葉を書いていました。


『遊びとは世界を考える行為』


息子が生まれた今、改めて読み返してみると新しい解釈が生まれてきそうです。


遊びに何度も出会い直し、気付かされる一冊となることでしょう。


<書評>

遊びがわかれば世界もわかる


そんなつもりで眺めれば、それこそスマホのデザインも、冗談交じりのおしゃべりも、ゲームやその他の楽しみも、日々の暮らしやビジネスだって、世界は「遊び」で満ちている。昔の人も言うように、遊びは人を映し出す。


それなのに、世界はどんどん変わるのに、遊びの理解は進まない。この本は、そんな理解を大幅に更新かける得がたい本。小さいけれど侮るべからず。山椒は小粒でもぴりりと辛い。ゲームも仕事も日常も、みんなまとめて面倒みよう。遊びの極意をご覧あれ。頭の中を揺るがせば、遊び心も湧いてくる。遊びがわかれば世界もかわる。


──山本貴光



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前世紀、二度の世界大戦のはざまの時代。

賢い人間(ホモ・サピエンス)を僭称した西洋近代の過信を省みて、

ヨハン・ホイジンガは遊ぶ人間(ホモ・ルーデンス)たる人類の本性を喝破した。


今世紀、ゲームと人工知能が遍く社会の情報化を導く現代。

いまや近代は超克され、この星は自然物と人工物が戯れあう

遊ぶ生命(アニマ・ルーデンス)の共異体へと拡張されつつある。


本書が思索する「遊び心」とは、そんな世界の塗り替えを導く原理の謂だ。

与えられた機能や目的に還元されない、流用と創造のダイナミズムとは?

予定調和な未来像を打ち破る遊戯論の更新が、ここから始まる。


──中川大地


<目次>

遊び心をもって考えるーーPlayful Thinkingシリーズについて

謝辞

本書の読み方


Chapter1 遊び

Chapter2 遊び心

Chapter3 おもちゃ

Chapter4 遊び場

Chapter5 美

Chapter6 政治

Chapter7 デザインから建築へ

Chapter8 コンピュータ時代の遊び


原註・訳註

訳者あとがき 松永伸司

参考文献



ミゲル・シカール
現在、コペンハーゲンIT大学のデジタルデザイン学科・コンピュータゲーム研究センター准教授。現代ゲームスタディーズの第一人者のひとりで、技術の哲学や文学理論をベースに、ゲームにとどまらず広く遊びに関わるものごとを論じている。著書に本書『Play Matters』(MIT Press, 2014)のほか、『The Ethics of Computer Games』(MIT Press, 2009)、『Beyond Choices』(MIT Press, 2013)がある。

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