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OBJECTS balance of differences

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OBJECTS balance of differences / 著者・南雲浩二郎 / 世界文化社



モノの動的平衡



最近はすっかりとご無沙汰になっていますが、北欧のヴィンテージ品、特に陶器やガラスものの買付けをよく行なっていました。北欧のクリエイターたちのインタビューをまとめたマガジンa quiet dayの取材の合間に、時間があれば近くのヴィンテージショップや蚤の市などを覗き買付けを進めていきます。


事前にものの情報をインプットしていっているかというとそうではなく、もちろん月日が経てばこれがどういった縦軸の時代背景と横軸のアート性のようなものの勘所というか、ものの位置付けなどは最終的には理解していましたが、買付けのスタンスとしては、自分の直感でピンとくるものをひたすら掘り下げ、自分の買い付けたものを並べてみては、その共通点を言語化して自己認識を高めていくような、そんな時間でした。目利きや目を養うということはこうした積み重ねで生まれてくる自己対話の集積なのだということを体感的に習得していったのです。


スケール感は違えど、本書『OBJECTS balance of differences』のページをめくり、著者である「BEAMS」のVMDと店舗内装ディレクションに30年以上携わるクリエイティブディレクター・南雲浩二郎さんが買い集めたコレクションや対談を読むにつけ、そんな買付けの時の感覚が蘇ってくる感じがします。ものの写真だけではなく、南雲さんがどのようにものと付き合っているのかということが親交の深い俳優・本木雅弘、料理人/アーティスト・船越雅代、現代アーティスト・八木夕菜、との対談で紐解かれていきます。

世の中に溢れているものの中からどんなものを選ぶのか、自分の“目”というものを頼りに、その枠の中に小宇宙を作っていくような感覚は、スマートフォンやPCの画面越しではなく、結局はもの、つまり物質としてのものを近くに並べ、その間の互いに影響を与え合う様子を眺めてみないとわかりません。この本はそうしたものが存在する豊かさを改めて思い出させてくれます。


ものとものが違いに影響を与え合うこと、そうした様子を見て人がどのような効用や高揚を得るのか、人と人との間にどのように関わってくるのか。


もの好きに特におすすめしたい一冊です。




<目次>

「衣」の均衡
「食」の均衡
「住」の均衡




南雲浩二郎

1985年にビームス入社後、90年代には家具部門の担当に。同時にカジュアルからドレスまで全てのレーベルのVMDを統括し、2000年代に入ると店舗内装のディレクションを担い、120店舗以上を立ち上げた。デコレーターとして国内外で様々な家具やオブジェ、アートなども買い付け、現職ではビームス社外でもプロダクトやインテリアなどのディレクションを請け負う。

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