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赤いモレスキンの女

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赤いモレスキンの女 / 著者・アントワーヌ・ローラン、訳・吉田洋之 / 新潮クレストブックス



手がかりは赤いモレスキンの手帳と本



パリはカフェそして、本の街でもあると思います。

セーヌ川沿いに一斉に立ち並ぶブックスタンドはパリのイメージの代名詞でもあり、そこからノートルダム大聖堂の方に歩みを進めれば、書店自体が本的な物語を綴っているであろうシェークスピア・アンド・カンパニーが佇みます。本の城のような場所でもあるこの書店には、観光客がごった返しておりここで本を購入するのはなかなか難しいのでは何てことも思ってしまいます。そこからセーヌ川を渡り、マレ地区の方に足を運べばアートブックを扱う専門店、毎週金曜日にワイン片手に読書会を開いているカフェなども点在しています。

本書『赤いモレスキンの女』のページを読み進めていると、物語のストーリーと並行してこうしたパリの人々の本に囲まれた生活が滲み出ているような描写が至る所に出てくるので、こんなイメージを想像することができるでしょう。


さて物語の舞台は現代のパリ(おおよそ2014年ごろ)。40代半ばで離婚歴がある書店を営む男性店主・ローラン・ルテリエと金箔職人としてアトリエで働く40代の女性・ロール・ヴァラディエが本書の主人公です。二人の共通点は『読書』。ここでも本の街でもあるパリという感覚を浮かび上がらせてくれています。そしてロールが落としたハンドバッグをローランが拾い、そのバッグの中に入っていた赤いモレスキンの手帳を手掛かりに物語は進んでいきます。


前作の『ミッテランの帽子』がそうであるように、ここでもキーになってくるのが誰かの落とした『遺失物』なのです。著者であるアントワーヌ・ローランはどうもこうした日常の些細なきっかけによる人生の変化という部分に興味があるようで、そうした運命というのは映画だけの話ではなく、誰の身にでも起こることだということを再認識させてくれます。

日常をよりポジティブに考えていける、そんな感じです。


落とし物から物語が生まれるってなんだか、素敵じゃありませんか。


<短評>
▼Tsujiyama Yoshio 辻山良雄
ゴミ箱の上に置かれていた、女性のハンドバッグに入っていたのは、サイン入りの「モディアノ」と、彼女の断片が書き綴られた赤いモレスキンの手帳だった。ときに一冊の本は、その持ち主に対する想像をかき立てずにはおかない。書店主のローランはバッグの本を見た瞬間から、まだ見ぬ女性がまったくの他人だとは思えなくなったのだろう。偶然や可能性、くり返しといった要素がストーリーを巧みに彩り、この世界が時おり見せるいとおしさが詰まった、極上の一冊。本と人生をこよなく愛する人であれば、きっと気に入るに違いない。


▼Camilla,Duchess of Cornwall コーンウォール公爵夫人カミラ
巧みで、愉快な小説。完璧なパリの傑作。


▼Le Figaro litteraire ル・フィガロ紙
春のように爽やかな小説。アントワーヌ・ローランは捉えどころのないパトリック・モディアノの影の中から、驚くべき恋愛劇を紡ぎ出した。


▼Marie France マリー・フランス誌
『ミッテランの帽子』で読者を虜にしたアントワーヌ・ローランが、『赤いモレスキンの女』を引っ提げて戻ってきた。ローラン特有のユーモアと不可思議さで、愛と偶然の戯れが蘇る。


▼Elle エル誌
エンディングが知りたくてたまらない。たとえ、すべての優れた恋愛劇がそうであるように、初めから結末を予想できたとしても。


アントワーヌ・ローラン
1972年パリ生まれ。大学で映画を専攻後、シナリオを書きながら短編映画を撮り、パリの骨董品屋で働く。『青いパステル画の男』で作家デビューし、ドゥルオー賞を受賞。『煙と死』『ノスタルジーの交差点』に続く『ミッテランの帽子』でランデルノー賞、ルレ・デ・ヴォワイヤジュール賞を受賞、世界的に注目を集めた。次作の『赤いモレスキンの女』も20ヵ国以上で翻訳され、ドイツ語版はベストセラーとなり、イタリア語版でジュゼッペ・アチェルビ賞を受賞した。


吉田洋之
1973年東京生まれ。パリ第3大学学士・修士課程修了、同大学博士課程中退。フランス近現代文学専攻。訳書にアントワーヌ・ローラン『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』『青いパステル画の男』、エリック・フォトリノ『光の子供』がある。