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旅の断片

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著者:若菜晃子 / 出版社:アノニマ・スタジオ

「街と山のあいだ」がテーマの小冊子『mürren(ミューレン)』編集・発行人でもある編集者・若菜晃子さんが綴る旅の随筆集。旅好きが読んだら最後、旅に出たい欲がうずうずと湧いてきてしまう、ちょっと危険な本です(笑)。

旅の行き先は全て海外で、メキシコの砂漠や地中海の島キプロス、インドの遺跡にサハリンの街中…、地名が連なった目次を読むだけで各地の情景が脳内にむくむくと浮かびあがり、旅への想像が膨らみます。

1つのお話が数ページで完結していて、5〜10分あれば読み終わるので、夜眠る前にベッドの中で、通勤電車の中で…、気楽に少しずつ読みすすめられるのもよいのですが、その数ページの文章の中には、若菜さんの旅の記憶や、情景描写が細やかに記されていて、短い文章ながらなんとも心が揺さぶられるのです。
1つ読み終わるごとに、自分も1つの場所を旅したような。

若菜さんにとって旅とは、というのが本の冒頭に綴られています。

「私はこれまでの人生を悩み、迷い、行きつ戻りつながら歩いてきた。その歩いていく過程で旅に出て、物理的にも心理的にも日常から隔離された場所で、しばし立ち止まって、自分のゆく先と心のなかの真意を見つめ直す時間が必要だった。 私にとって旅とは、未知なる国への旅であり、未知なる自分への旅でもある。」 (『旅の断片』3Pはじめにより抜粋)

立ち止まり、見つめ直す時間というのは、余白を自ら作る行為でもあるのかな、と思いました。 『旅の断片』の中には、そうした時間の中に見つけられた、日常生活の中では見落としてしまいがちな世界の美しさや感動が、純粋な目線で綴られています。

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