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カイ・フランクへの旅 “フィンランド・デザインの良心"の軌跡をめぐる

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カイ・フランクへの旅 “フィンランド・デザインの良心"の軌跡をめぐる / 著者・小西亜希子、写真・永禮賢 / グラフィック社




北欧デザインのスタンダード




北欧を旅し始めたのは2010年から、そしてヴィンテージ品の買付をし始めたのは2015年ごろなので早10年くらい経ってきています。様々な蚤の市を周りました。その始まりは旅の延長線上に残る何か証のようなものを買いたいという動機と、日本で北欧ライフスタイルのマーケットを立ち上げるために現地でリサーチを兼ねてという目的を持ってフィンランドの首都ヘルシンキで開かれている蚤の市を周ったように思います。まず目に留まったのが、ARABIAの陶器でできたTARINAシリーズのカラフェとショットカップ。まさに日本のお猪口と徳利といった出立ちでこころ惹かれたのを思い出します。そこから同じく手にしたのはARABIAのKILTAというシリーズのカップ。普遍的でシンプルなフォルムと穏やかな一色のカラーリングが潔い、ものから醸し出される何かに惹かれていったのかもしれません。

そうして陶器ばかりのラインナップになってはいけないと思い、少し品がよくかつシンプルなガラス製品をと蚤の市に出店している方たちの出品しているアイテムを見ていると一際目に留まったのが緑色のキャニスターでした。少し他の手持ちのものと比べて派手かなと感じましたが、ものは試しで手にしてみて、他の陶器のラインナップと並べてみるとあら不思議。しっくりくるのです。

帰国後、改めて一つ一つの買付したものを調べてみると、先の陶器のKILTAやキャニスターをデザインしたのが、デザイナーのカイ・フランクだということが分かり、そのしっくり感が納得できたのでした。これが僕とカイ・フランクとの出会いでした。


さて、本書『カイ・フランクへの旅 “フィンランド・デザインの良心"の軌跡をめぐる』は、今日に続くフィンランド・デザインの礎を作り、1950〜60年代の黄金期を支えたプロダクトデザイナー、カイ・フランクについてプロダクトの生産地からカイ・フランクと関わりのあった人々までを丁寧に取材した内容が一冊にまとめたデザイン紀行です。

著者は1990年代後半からミッドセンチュリー、北欧デザインを専門としたインテリア業界にて活動し、現在はMD、商品開発、PR、企画、VMDから、ブランドディレクションまでこなす小西亜希子さん。

カイ・フランクがデザインしたシンプルで機能的、丈夫で手頃な価格のテーブルウェアは、イッタラの「ティーマ」や「カルティオ」として、発表から60年以上を経たいまなお世界中で愛されています。ページをめくってみると北欧デザイン界のレジェンドの知られざる仕事や人生、素顔を垣間見ることができて、さらにカイ・フランクのファンになってしまうこと必至です。


現在活躍してる北欧のデザイナーで、カイ・フランクから影響を受けていないという人はいないくらい、シンプルで機能的、そして敷居が高くなく日常使いしやすいプロダクトという北欧デザインのスタンダードをデザインし続けてきたカイ・フランク。そのレジェンドを知るにはとても良い一冊です。


<目次>

PROLOGUE 旅の始まり―ティーマ、カルティオ
01 カイ・フランクが歩いた道―生涯の歩みをたどる旅
02 世界中で愛され続けるプロダクト―タイムレスデザインへの旅
03 知られざる作品と素顔に出会う―タウノ・タルナコレクション
04 在りし日のカイ・フランクの横顔―人々の記憶をめぐる旅
05 今も出会える名作を探して―ヴィンテージプロダクトに出会う旅
EPILOGUE 旅の終わり―サントリーニ島




小西亜希子
東京都生まれ。バンタンデザイン研究所にてインテリアディスプレイデザイン科を修了し、1999年より本格的にインテリアの仕事を始める。LDK有限会社、マシン・エイジ(モダニカ東京、Case study shop #1)を経てイルムスジャパンに入社。広報、販促、MD、ディレクターなどの業務に携わり北欧への造詣を深める。2014年に独立。現在はフリーランスとして、北欧ブランドのMD、商品開発、PR、企画、VMDから、ブランドディレクションまでこなす。


永禮賢
フォトグラファー。1975年生まれ。2009年友人と写真事務所株式会社Fuseを設立。作品制作をしながら雑誌・書籍・広告等、国内外で活動。人物・建築・アート・料理など幅広く撮影している。

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