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じゃむパンの日

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じゃむパンの日 / 著者・赤染晶子 / palmbooks



いつか見た景色の中で



本書『じゃむパンの日』は2017年に急逝したエッセイの名手として知られる赤染晶子さんの初のエッセイ集です。『新潮』や『群像』、『京都新聞』などで2000年代後半から2010年代前半綴られた文章になるのですが、どれも古びてしまうことなく、今も言葉が想像の世界へと導いてくれます。内容は赤染さん自身の幼い頃や学生時代そしてつい最近の出来事やその事象に対してどのような心境になったのかということなどがつらつらと描かれており、もちろんそれは読者の方の大半は初めてみる文章かと思いますが、どこか自分の日常生活を客観的に眺めているような不思議な感覚になってきます。

きっとそれはその事柄についての説明というよりは、こころの移り変わりや変化が美しい言葉でまとめられているからなのでしょう。

ああ、こういうなんとも言い難い気持ちってあるよね、とじんわりとした共感の連続です。


巻末に収録されている翻訳家の岸本佐知子さんとの『交換日記』もなんだか懐かしい光景を眺めているようでとても温かな気持ちになります。


本書の帯に内容を的確に表している言葉がありました。


日常を描いていながら、想像が羽ばたき、

ことばで世界を様変わりさせていく。

ここに生きている人たちがいとおしくて、読んでいると、

ふしぎと気持ちがあたたかくなる。

初のエッセイ集にして、マスターピース。


気持ちを落ち着かせた午後にゆっくりと読み進めたい一冊です。


<目次>
病院の小さな秋
いずこへ
全員集合!
ビバ!大掃除
関西人、参上!
しょうちゃん
新人研修
大当たり!
ウエディングドレス
おばけ屋敷〔ほか〕




赤染晶子
1974年京都府生まれ。京都外国語大学卒業後、北海道大学大学院博士課程中退。2004年「初子さん」で第99回文學界新人賞を受賞。2010年、外国語大学を舞台に「アンネの日記」を題材にしたスピーチコンテストをめぐる「乙女の密告」で第143回芥川賞を受賞。著書に『うつつ うつら』『乙女の密告』『WANTED!! かい人 21 面相』がある。2017 年急性肺炎により永眠。エッセイの名手としても知られ、本書が初のエッセイ集となる。

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