30日のイタリアン / 著者・相場正一郎 / mille books
イタリアン × 日本の四季
イタリアンを家で作る時は父が担当していました。私も食材の仕入れをしに行くのについて行ったりしていたのですが、いつものスーパーとは違って輸入食材を多く扱うカルディまで自転車を走らせていたことを思い出されます。この時に限っては少しの奮発も良しとしていたような気がします。というよりは、父の自腹だったのか。実際にイタリアンを作る時はやっぱり現地さながらの味を堪能したく、国産の食材よりも輸入食材や調味料の方が味がしっかりと決まってくる印象があります。そういうことでイタリアンと聞くと食材を買込んで自転車に積んだ父の背中を思い出すのでした。
本書は東京・代々木公園の『LIFE』ほか四店舗のレストランを運営しているオーナーシェフでイタリアンの達人・相場正一郎さんがこっそり教える、誰でも手軽に20分で作れる、30の野菜を美味しくするとっておき絶品イタリアンレシピ集です。
特に特徴的なのが、日本の旬の野菜を季節毎にカテゴライズしてまとめてあるので、料理のレパートリーが自然と季節に寄り添ったものになっていくことでしょう。
そして、本書のはじめにで相場さんはこう語ります。
「イタリア料理修行で一番に感じたことは、野菜の味の豊かさでした。深みのあるイタリアの野菜を使った味を日本の野菜で作ることは難しいですが、ほんの少し魔法をかけることで日本人の味覚に合う、野菜の滋味がしっかり味わえるイタリアンが作れることを発見しました。僕がイタリアで体験したコクのある奥深い野菜の味を、ご家庭でも手軽に味わって欲しいという気持ちで綴りました。旬の野菜が持つ、本当の旨味を感じてください。」
いつか子どもが大きくなった時に、イタリアン × 日本の四季は最高だと思ってくれるかな。
相場正一郎
1975年栃木県生まれ。1994年~1999年にイタリアのトスカーナ地方で料理修行。東京都内のイタリアンレストランで店長兼シェフとして勤務した後、2003年東京・代々木公園駅にカジュアルイタリアン「LIFE」をオープン。全国で4店舗のレストランを運営しており、カルチャーを作る飲食店としても注目を集めている。主な著書に『山の家のイタリアン』、『30日のパスタ』(ミルブックス)、『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』(筑摩書房)、『LIFEのかんたんイタリアン』(マイナビ)がある。二児の父親であり、週末は家族で栃木県那須町にある山の家で暮らす二拠点生活を送っている