No.6のテーマは「資源」です。
HÅNDVÆRKの今号のテーマは、これまでの5号と同様に、クラフトとデザインという包括的なテーマのもと、「資源」にフォーカスしています。具体的には、職人や工芸品、デザインオブジェクトの制作に関わる条件や資源に注目しています。
この「資源」には、人材、可能性、天然資源など、あらゆるものが含まれます。
昔、編集長のRigetta Klintがファッションデザイナーとして働いていた頃、天然資源のことを「マテリアル」と呼んでいました。
マテリアルとは、天然資源にエネルギーとマンパワーを組み合わせたものでした。
その当時、素材は常に最高品質であったため、耐久性があり、努力に見合うものでした。しかし、それは彼女の視点が小売価格に対する製品の耐久性に注目していただけで、限りある地球環境と生産に支払ったコストとの関係という側面ではなかったのです。
視点を変え、素材ではなく資源について話すようになってから、ほとんどすべての消費に対する彼女自身の態度が変わり、より深い認識を持つようになったそう。
ある製品を作るために必要な資源を意識することで、その製品は本当に価値があるのか、自問自答するようになりました。
皆さんもこの一冊を通して一緒に、視点を変えてみるのはいかがでしょうか?
もうひとつは、「時間」という資源を考えることです。
時間は希少な資源です。これは、手作業の痕跡、つまり製造に費やされた時間の痕跡を示す製品が、新しい贅沢品、ステータスシンボルであることを正当化するために、何年も前に使われた説明です。
穀物の家(Kornets Hus)のディレクターであるJohannes Haandsbæk Vestergårdは、93ページで、穀物は単純な商品でありながら、文化的習慣を加えることで大きくグレードアップできるため、興味深い存在だと説明しています。牛乳はチーズに、ブドウはワインに変身します。 これらのプロセスでは、時間が製品価値の大きな割合を占める資源ですが、もう一つの重要な資源は、実践的なコミュニティで受け継がれる経験知であるということです。
デンマークは教育制度が充実しており、コミュニティでの学習はネットワークによるものですが、正式なトレーニングは無料で受けられます。デンマークの学生には学資援助まであります。ボーンホルム島には、デンマーク王立アカデミーの学科があり、3年半の時間を投資すれば、ガラスや陶磁器のデザイナーになることができるのだそうです。この学校への訪問記は、122ページに掲載されています。
【size】W215mm × H280mm(160ページ)
【language】英語
【お取り扱い店舗】
・青山ブックセンター本店
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HÅNDVÆRK BOOKAZINE
2019年に創刊されたデンマークのクラフトマンたちにフォーカスを当てたインディペンデントマガジンです。「HÅNDVÆRK」はデンマーク語で「Hand Work(ハンドワーク)」を意味し、デンマークの手仕事について編集されています。「BOOKAZINE」は書籍と雑誌の間の形式の紙媒体を表しています。
このマガジンは、30年以上に渡り、クラフトとデザインを中心に仕事をしてきたRigetta Klint(リゲッタ・クリント)が編集・デザイン・写真を一手に担いマガジンを制作しています。
特定の分野だけにフォーカスを当て編集するのではなく、食卓、テキスタイル、HOMEといった毎号異なる大きなテーマの下、才能豊かで献身的な職人、メーカー、コミュニケーターなど、幅広い層の方々との話を聞き、ストーリーでまとめられています。
インタビュー形式でまとめられているというよりは、何かを生み出している方たちとの対話を体感でき、まるで一緒にその場で取材に同行して学んでいるかのような気持ちにさせてくれます。
このマガジンを通して、本来持っている品質によってゆっくりと消費される美的持続可能性を編集してクラフトマンたちのエピソードを伝えていきます。