神の国日本の食と霊性 / 著者・森井啓二 / きれい・ねっと
美しく食す
幼少期の夏休みに信州・上田の祖父母の家に滞在していた時の記憶で蘇ってくる光景がある。日が暮れるまで遊び回っていた田んぼや畑に挟まれた畦道でもなく、それは居間の大きな机を大家族が取り囲み食事をしたあの光景だ。
母の姉弟家族のそれぞれの席次がなんとなく決まっていて、古き良き田舎の大家族のような光景だったのだ。料理は祖母、母、母の姉、母の弟のお嫁さんの4人が担当し、配膳はその子供たちが担っていた。子供たちの中でもなんとなくの役割があり、箸を並べる人、コップを並べる人などなど。自分はというと居間の上にある神棚や仏壇にお米をこんもりと盛り付け配膳する係だったように記憶している。どういうきっかけだったのか、兄妹従姉妹の中で男が自分だったからというなんとなくの理由で祖母から頼まれてやったのが最初だったように思う。それに子供ながらにこれを行う時は神聖な気持ちでありたいと思っていたし、それは自分だけのお役目として少し誇らしい気持ちでさえあった。
実際に皆で食事をしている時も、和気藹々とはしているものの、普段の自宅の食事とは少し違う空気感に良い意味の緊張感がそこにはあったし、とても澄んだ時間だったように思い起こされるのだ。もしかすると、元来の日本人としての食への向き合う姿勢というものはそうしたものだったのかもしれないと、今振り返ってみると感じ、その時間はとても楽しかった時間という記憶の残り方ではなく、本来あるべき場所に立っているという確かな実感の記憶というものだったのだ。
さて、こんな記憶が浮かび上がったきっかけになったのが、本書『神の国日本の食と霊性』だった。ページの中には、日本人が当たり前としている食事の中での所作や習慣などを紐解き、古代から受け継がれてきたものとして、食の叡智として再解釈されながらまとめられている。
肉食と植物食はどう違うのか、腸内細菌が思考や感情に与える影響、発酵食が宿す日本古来の神秘の力などが深ぼられている。
この一冊を読み終えると、今取り戻さないといけないのは、自分が経験したあの祖父母の家の食事の光景なのだと実感させられる。
あの場には美しい食の時間がながれていたのだ。
「清らかな食」が魂を磨く──神々とつながる日本の食文化の叡智を解き明かす一冊。ぜひお手元に。
<目次>
第1章 食事は神事
・御食事は御神事
・清浄な心身を創る「聖なる賜物」
・霊人と霊食
・食事は神聖な護摩焚き
・地球上で唯一「調理」をする生き物
・霊性進化を加速させる行動
・言葉を超えた真言「いただきます」
・「当たり前」という心の枠を外す
・食材という「命」
・喫茶喫飯を実践する
・食材と心が融合する三徳六味
・美しい波動を料理に移す心構え
第2章 霊性を高める食
・自分の心と身体の声を聴く
・声を聴いてはならない部位
・動物たちの食
・肉食と植物食
・日本人の腸と肉食
・傾腸―腸からのお便りを大切に
・大自然の一部である野菜の力
・健康寿命に影響を与える酵素
・食事の基本はよく噛むこと
・食べ物を消化する時間
・人と共存共進化する腸内細菌
・繋がり合う脳と腸と微生物
・「アーユルヴェーダ」の知恵
・霊性を最大限に引き出す浄化食
・何のために長生きするのか?
第3章 日本の食と霊性
・風土に合った食生活
・旬の食材を味わう
・自然界と人とを繋ぐ旬の食材
・瑞穂の国のお米の力
・稲の不思議
・醤油 日本を代表する発酵調味料
・味噌 百薬の毒を消すもの
・塩 鉱物界由来のミネラル源
・酢 病気の治療にも用いられる調味料
・砂糖 本物の糖を選ぶことが肝心
・油 適切な摂取が大切
・大豆 和食の土台となる食材
・漬物 保存性の高い魅力的な食材
・梅干 健康に必須の食材
・海藻 日本人に適した優れた食材
・鰹節 世界一硬い食品
・水 物質世界における万物の母体
・日本茶 日本人に合う大切な飲み物
・米麹甘酒 栄養が詰まった「飲む点滴」
・日本酒 神様への尊い捧げもの
第4章 霊性進化の危機
・現代型栄養失調に陥る人々
・肉 現代社会の食肉事情を知る
・加工肉 人の舌を狂わせる魅力
・牛乳 伝統食と現代食の象徴
・清涼飲料水 甘さの中に危険が潜む
・アルコール飲料 惟神の道を歩む人の足枷
・多用されるレトルト食品と冷凍食品
・消費者の意識が問われる食品添加物
・出来るだけ避けたい添加物
・遺伝子組み換え食品とゲノム編集食品
・農薬と化学肥料に依存する日本
・情報過多が生んだ偏食傾向
第5章 神と共にあるために
・食の節制で五感と欲望を制御する
・断食 神と共に過ごす時間
・不食とは自然に起こるもの
おわりに 美しい食が美しい世界を創る
森井啓二
北海道大学獣医学部・北海道大学大学院獣医学研究科卒。札幌市内の動物病院を経て、オーストラリア各地の動物病院へ。元日本ホメオパシー医学会理事・同会認定獣医師専門医。国際ホメオパシー団体LIGA獣医師会員。国際ホメオパシー獣医学会日本支部初代代表。日本獣医ホメオパシー学会初代会長・同会名誉会員。日本ホメオパシー協会会長。