エドワード・ホッパー作品集 / 著者・江崎聡子 / 東京美術
画家で誰が好き?と聞かれたら、真っ先に挙げるのがエドワード・ホッパーです。
作品の中から漂ってくる不思議な静寂さとその空気感。誰かが描かれているのにそこには誰もおらず、いつの間にか絵画のモチーフの人物と自分との境界線が曖昧になっていくような感覚を感じます。
いくつもエドワード・ホッパーの作品集や彼の作品について論述されている書籍は持っていますが、この『エドワード・ホッパー作品集』はホッパーが活躍した時代の社会的な背景やそれに伴い直面するホッパー自身の理想と現実との葛藤が丁寧に解説されていて、作品一つ一つの解像度が今までよりも深くなっていくことが感じられる一冊です。
初めてホッパーの作品を見る人も、ホッパーファンも楽しめる一冊です。
第1部
ホッパーとアメリカ美術の近代
エドワード・ホッパーのアメリカ
第2部
鉄道
自動車旅行
劇場、映画館
都市
都市の女たち
構図
筆触、色調
自然と文明
江崎聡子(えざき・さとこ)
聖学院大学人文学部准教授。専門はアメリカ視覚文化、アメリカ美術およびジェンダー研究。長野県生まれ。東京大学大学院博士課程単位修得満期退学(地域文化研究専攻)。共著に『描かれる他者、攪乱される自己──アート・表象・アイデンティティ』(2018年、ありな書房)、『ニューヨーク──錯乱する都市の夢と現実』(2017年、竹林舎)、『創られる歴史、発見される風景──アート・国家・ミソロジー』(2016年、ありな書房)などがある。