地球的思考 / 著者・國分功一郎、清水光明 / 水声社
『暇と退屈の倫理学』の著者として知られる國分功一郎さんが中心に、東京大学の学術研究・教育プログラム「グローバル・スタディーズ・イニシアティヴ(GSI)」が企画した東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構(IAGS)主宰の連続セミナー《グローバル・スタディーズの課題》の内容をまとめた一冊です。
数十年に渡りグローバル化を進めてきた私たちですが、近年その反動が環境面や健康面それらが真因となり、物流やエネルギー価格の上昇など、世界が複雑に絡み合うことで当初想定もしていなかったような課題が世の中に溢れています。
そういったことを踏まえ、今後『地球的思考』のようなフレームで物事を考えていかねばならないと感じているけれど、確かな手がかりが掴めないと思う方に向けられている一冊だそうです。
実に様々な方たちの講義が編集されまとめられているので、『地球的思考』の旗の元、異なる角度からグローバルや今後の世界・地球・人間のあり方を考えるお供になる本です。
<目次>
はじめに
1.地域研究とグローバル・スタディーズ(西崎文子)
2.領域再編の政治学(石田淳)
3. 奴隷貿易とその廃止運動を再考する(大石和欣)
4. 謝罪・赦し・和解の政治とグローバル化(高橋哲哉)
5. グローバル化の中でのイスラーム(池内恵)
6. グローバル化は比較社会研究に何をもたらすか(有田伸)
7. 世界史/グローバル・ヒストリー研究の意味、可能性と難しさ(羽田正)
8. 哲学の希望(中島隆博)
9. 異なるものをつなぐ、比べる(受田宏之)
10. アフリカに接近する(遠藤貢)
11. 「グローバルな俯瞰力」と「ローカルな視点」をつなぐ(和田毅)
12. 「宗教的なもの」から広がるもうひとつのグローバル・スタディーズ(伊達聖伸)
13. グローバル化時代の『人間』を考える(田辺明生)
14. 政治思想史、帝国、グローバル化(馬路智仁)
15. 中動態によって問い直される近代的人間像(國分功一郎)
あとがき
國分功一郎
東京大学大学院総合文化研究科准教授(哲学)。著書に、『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫、2021年)、『はじめてのスピノザ――自由へのエチカ』(講談社現代新書、2020年)、『中動態の世界――意志と責任の考古学』(医学書院、2017年)、『スピノザの方法』(みすず書房、2011年)など。