喫茶店のディスクール / 著者・オオヤミノル / 誠光社
わたしたちは誰のために生きるか。
小さくてもお店を経営していると様々な問題というか、壁にぶつかります。
基本的な構造として自分たちが何かしらの魅力をお伝えしてそれに興味を持った方たちが集うことでお店という『場』が成立していきます。自分たちの何を価値として提供していくか。そんなことを日々考えながら過ごしています。
本書『喫茶店のディスクール』は、喫茶店を営むオオヤミノルさんが自身のこれまでの店舗経営などを辿りつつ一歩引いた目線で綴った経営指南書です。オオヤさん節の文章や言葉遣いに最初は面を食らってしまうかもしれませんが、やりたいことと期待されていることの間での葛藤や経験などは全てがリアルです。そしてなんとなく昭和から平成、そして令和に時代が移り変わっていくにつれて、個人的にも少し物事が薄っぺらくなってしまったのではないのか、と感じているところだったので、まさにオオヤさんの言葉は、社会として痛いところをついていると感じました。
仮フランス装の装丁も美しいです。
権威と既存のやり方とどう付き合っていくかということに何かヒントを得られそうな、そんな一冊です。
<目次>
―「パチャママ」の頃 ―
第一考 職業意識の変化
―「シティライト」の頃 ―
第二考 資金の調達について
―「ウサギ」の頃 ―
第三考 ローカルであることの必然性
―「オオヤコーヒー焙煎所」の頃 ―
第四考 いいヤツでいこう
― サンフランシスコ視察と「KAFE工船」の頃 ―
第五考 共有財産の私物化と、権威主義の横行
― グランド・オオヤコーヒーホテル構想 ―
第六考 作り手ではなく飲み手、もらい手ではなく出した側
あとがき
オオヤミノル
ナショナリスト キライ。無意識な職業蔑視 大キライ。無知でいいとの考え キライ。体型に無頓着な人 キライ。笑えないコト 大キライ。無意味な説明 キライ。お近づきになりたがっている人 キライ。細切り豚肉 大キライ。権威主義者を肯定する人 キライ。ブラック労働者 キライ。で珈琲の仕事35年。