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脱学校の社会

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脱学校の社会 / 著者・イヴァン・イリッチ、翻訳・東 洋、小澤 周三 / 東京創元社



学びの環境とは




子どもと一緒に生活していると、その言葉どこで覚えてきたの?と聞き返したくなってしまうようなことを突然何の前触れもなく言ったりします。親の私たちの普段の会話をどこかで聞いていてそれをいつの間にか吸収し、自分で表現できているのだから、人は誰かに何かを教わらなくとも、学び取れる生き物なのだなとつくづく感じます。

自分の学生時代を振り返ってみても、学校の授業の中で教わったもの、というか訓練されたことは、きっとその教科は何であれ先生が話す知識的なことではなく、ある目標となるものに向けた時間の割り振りと行動、そしてその能力の反復運動だったのだろうと感じます。それは来るべき世の“社会人”になるための職業訓練校だったのでしょう。

そう考えてみると、今の自分のアイデンティティになっていることは、人と人との関係性の中におけるやり取りの中で自分自身が肌感覚的に学んできた蓄積のような気がします。そうです。先の子どもが言葉を覚えるプロセスと同じだと思うのです。

こうした関係性の中から自分自身が着目したことを学ぶということを前提に考えた場合、重要になってくるのがその学びが生まれてくる状況や環境を整えていくことが大切なように感じられます。そうした環境が整えば、各々の何かを感受することが高まった段階やタイミングでそうした学びの歯車が自ずと回ってくるのだろうと思います。

それは決して旧時代のような一方的で抑圧的な“お勉強”という形ではないはずです。


本書『脱学校の社会』は、現行の学校制度が、学歴偏重社会を生み、いまや社会全体が学校化されるに至っていることを指摘し、公教育の荒廃を根本から見つめなおし、人間的なみずみずしい作用を社会に及ぼす真の自主的な教育の在り方を問いなおした問題の書です。著者は哲学者と社会評論家で知られるイヴァン・イリッチです。

45年以上前に出版された、逆のものさし的な、脱○○を考える上で必読の一冊でこの考えは、教育以外にも当てはまる『本質』が書かれています。



<目次>

1 なぜ学校を廃止しなければならないのか

2 学校の現象学

3 進歩の儀礼化

4 制度スペクトル

5 不条理な一貫性

6 学習のためのネットワーク

7 エピメテウス的人間の再生



イヴァン・イリッチ
1926年ウィーンに生まる。グレゴリアン大学で神学と哲学を修めた後、ザルツブルク大学で歴史学の博士号を取得。1951年に渡米し、ニューヨークでカトリックの助任司祭となり、195660年、プエルト・リコのカトリック大学の副学長を勤めた後、メキシコのクエルナバーカに国際文化資料センターを設立。同センターで、ラテンアメリカに焦点をあてた社会制度に関する研究セミナーを主催している。著書に「エネルギーと公正」「脱病院化社会」などがある。

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