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日本人の愛した色

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日本人の愛した色 / 著者・吉岡幸雄 / 新潮社



色の日本史



桜鼠、素鼠、銀鼠、利休鼠、鳩羽鼠、小豆鼠、源氏鼠……。これらを耳にしたことはあるでしょうか。染色の仕事などを生業にしている方たちは耳にしたこともあるかと思いますが、おそらく大半の方たちは”グレー”という名称でそれらの色を表現しているかと思います。

色というものはグラデーションを持っているもので、幸いにも自分はAdobeのindesignやIllustratorを使ってエディトリアルデザインなどを行なっているので、 色の識別子CMYKなどで微妙な色の差異を調整しデザインしていく作業があるため、例えば”グレー”という色が唯一無二のそれということではないのは理解していました。そのCMYKも十進法の中での調整なので、きっと欠落してしまっている色の方が多種多様なのだと思います。


本書『日本人の愛した色』は染色の世界の第一人者でもある吉岡幸雄さんが、化学染料が入ってくる以前の日本の伝統色の変遷をまとめた一冊になっています。先に表した日本人が昔使っていた色を表現する言葉「色名」を、現代の私たちが聞いた時それらを頭の中でイメージすることが非常に難しいと思います。著者の吉岡さんはそういった状況を「色そのものが消えてなくなってしまう」と危惧しています。先人たちは植物を煮出してできた色をその見栄えや工程、季節なども取り入れながら「色名」をつけていったのでしょう。それはつまり昔の方たちの心の中の情景を表しているかのようなものです。


日本人がかつて見ていた色の世界は果てしなく広く、深かったのでしょう。

作ってきた先人たちの知恵や感覚ともいえるこの「色名」を少しでも多く残していきたいとこころから願いたくなる一冊です。



<目次>

第一章 赤への畏敬

第二章 高貴な色となった紫

第三章 多彩な青と緑

第四章 仏教の黄、魔力の金

第五章 町人の色、茶と黒

あとがき




吉岡幸雄
1946年京都生まれ。染色家。早稲田大学第一文学部卒業後、美術図書出版の「紫紅社」を設立。1988年「染司よしおか」五代目当主を継ぎ、伝統的な植物染による日本の色をあらわす。東大寺、法隆寺、薬師寺、石清水八幡宮などの行事で用いられる造り花、衣装、道具を制作。著書に『日本の色を染める』『日本の色辞典』『色の歴史手帖』『京都の意匠I・II』『京都色彩紀行』『京都人の舌つづみ』『日本の色を歩く』など多数。

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