Chromatic Herbarium / Massimo Gardone, Alessandra Muran / Corraini Edizioni
自然色のデザインアーカイブ
イタリアを拠点し、主に静物写真で知られ、視覚伝達の領域で注目を集めるマッシモ・ガルドーネ。
彼の個人的なプロジェクトにおけるお気に入りの主題は花と海で、なかでも数年前にはじまった花びらと雌しべにまつわる個人的な研究はまだ完了していません。そんな彼ともにスタジオを設立したアレッサンドラ・ムーランが協働で/制作し、『色彩の植物標本集』と題されたこの本には、点在するうつくしい色見本が展開されています。
これは見開きの他方に登場する 植物たちと呼応しています。
新鮮なうちに採取し撮影した植物の自然の色彩をあらわしているのです。生命力あふれる鮮明な植物標本集でありながら、グラフィックアーティストの目でもって、花びら、葉、枝、そのほかの自然界に存在する要素の色彩や(いわゆる” PANTONE”のような)色見本帳を増強する、示唆に富む写真集でも あります。 この研究に付随するテキストとして建築家やキュレーターから寄稿されたエッセイのほか、ランドスケープデザイナーによる考察を収録。後者においては、自然主義的な色彩観察からはじまり、絵画や音楽、その他色彩が不可欠の芸術形式についても言及します。
text by Takiko Nishiki
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Massimo Gardone
イタリア・ジェノヴァで生まれ、パレルモでクラシックダンサーの家庭に育つ。芸術的な環境に囲まれたマッシモは、チェロの勉強を始め、写真に興味を持つ。数年後、彼は別の海岸沿いの町トリエステに立ち寄る。ここで、ビジネスパートナーのアレッサンドラとロレンツァとともに、マッシモはスタジオ・アジムートを設立する。ここで彼は演劇とダンスを中心とした最初のモノクロ写真プロジェクトに取り組み始める。彼の創造的なプロジェクトは、マッシモが花に与えるいくつかの解釈を研究した8×10のポラロイドフィルムに変わる。デジタル写真の導入により、マッシモはより広い視野を持つようになる。1990年代以降、マッシモはイタリアの著名なグラフィックデザイナーと協力し、静物写真に専念している。彼の芸術的ビジョンは、個人的な研究と依頼された仕事の間でバランスが取れており、多くの重要なブランドのビジュアル・アイデンティティとなっている。マッシモは、撮影からポストプロダクションまで、写真の各工程に取り組んでいる。彼の写真は商業、デザインの両面で使用され、世界中の展覧会や美術館で展示されている。