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旅の彼方

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旅の彼方 / 著者・若菜晃子 / アノニマ・スタジオ


 

旅をして知る自分の現在地


 

小冊子『mürren(ミューレン)』編集・発行人でもある編集者・若菜晃子さんによる旅の随筆集三部作『旅の断片』『途上の旅』につづく最終巻『旅の彼方』。


旅の周辺にまつわる文章を集めた、という本書は、ロシア、英国、タイ、南アフリカなどの国のほか、「旅と書物」「忘れじの味」といった本や食のお話も登場。


「旅と書物」では、現地での旅の出来事や情景と本がこうやって結びつくのかと思わず唸るような文章を読める楽しさと今まで知らなかった本と出会える喜び。もれなくどの本も読みたくなります。


「忘れじの味」では、これまでの静謐で穏やかな文章から一転、「~~ですわよ」「~~かしら」といったぐあいに口調が軽やかになり、旅先での若菜さんの食への探究心や愛が伝わってくる楽しい章となっています。私はとくに「ひよこ豆のスープ」のクレタ島での描写がとても好き。


これまでの旅の三部作を読んできた方も、初めての方も、ぜひ読んでほしい一冊。

旅をしているような非日常な気分になるだけではなく、日々生きることや生活することを顧みるきっかけにもなるかもしれません。



<目次>

はじめに

白い岬にて


旅の空

上空にて/ピーターパン/浮浪者のふたり/生きる喜び/異国の空/キャンディまで/物事の理/浮遊する魂

ロシア カムチャツカのおばさん

キッチン用品のおばさん/ネッカチーフのおばあさん/売店のおばさん/ハスカップのおばあさん/ホフロマ塗のおばあさん/浜辺のおばあさん/バス停のおばさん/トレンチコートのおばあさん

英国 湖水地方の秋

-湖水地方の秋

 オークの船/フィルとドレイクと片方手袋/スレート/私的地図考/教会のポポーポ/バスバス走る/フレイクジャックス/中国の田部井さん/開かない土産物屋/夜中に嵐が来た話/海と原発/シオンの瞳/The North Pole

旅と書物

はなのすきなうし/ロッテルダムの灯/ヴァリスの光/教会の男/アミエルの日記/ハンス・ブリンカー

忘れじの味

-ジャンクスイーツの旅

 インド/オールドデリー

 ポルトガル/アルガルヴェ

 モロッコ/フェズ

 メキシコ/バハ・カリフォルニア半島

 ロシア/モスクワ

 ギリシャ/クレタ島

 スイス/ツェルマット

 カタール/ドーハ

日本語教師と大判焼/ひよこ豆のスープ/バター茶/ハニービール/スイスのランチバック/ポテトフライとジブラルタル/夜明けのスープ/葉包みの正体/葉で包む

タイの午後

夜行列車の風/春のぬくもり/メコンの流れ/国境の町の竜神伝説/ジャックのおばさん/停車場の友/三人の夜店

人々の街角

ペチカのアパート/生きもののいる暮らし/岩棚の家/迷路の卵/花を買う男/アラブストリートにて/ヤドカリのお礼/帽子の男の子/麦わら帽子/ロシア人の握手/サタラ行きのバス

旅のあとさき

紅白の鶴/ノートをつける/帰国後のパーティ/アジアの香り/生きているインド/我が師の恩/平平安安

南アフリカの籠

木が教えてくれた/星々の夜/海辺の家の椅子/あなたの籠/ハタオリドリ/花は光の射す方向を/花畑と彩雲/ヨーグルトの容器/喜望峰で見たもの/帰っていった1ランド/赤い水平線


滞在国・都市名一覧

おわりに



若菜晃子
1968年兵庫県神戸市生まれ。編集者、文筆家。
学習院大学文学部国文学科卒業後、山と溪谷社入社。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て独立。山や自然、旅に関する雑誌、書籍を編集、執筆。「街と山のあいだ」をテーマにした小冊子『mürren』編集・発行人。
著書に『東京近郊ミニハイク』(小学館)、『東京周辺ヒルトップ散歩』(河出書房新社)、『徒歩旅行』(暮しの手帖社)、『地元菓子』、『石井桃子のことば』(新潮社)、『東京甘味食堂』(講談社文庫)、『岩波少年文庫のあゆみ』(岩波書店)、『街と山のあいだ』(アノニマ・スタジオ)など多数。旅の随筆集第一集『旅の断片』は2020年に第5回斎藤茂太賞を受賞。第二集『途上の旅』に続く第三集が本書。

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