ぼうけん図書館 エルマーとゆく100冊の冒険 / 著者・永岡綾、イラスト・ルース・クリスマン・ガネット / ブルーシープ
冒険へのガイド
『冒険』という単語を見た時に思い出す風景があります。それは中学校の卒業論文のためのリサーチとして自分の住んでいる近くの『野火止用水』という用水路の源流からその流れが終わる終点までを父とビデオカメラを回しながら自転車に乗ってリサーチのために辿っていくということでした。自転車族だった我が家では、普通の人たちでは少し距離があるなと感じるところでも1時間くらいかけ自転車で行くということもざらにあったので、なんてことのない旅路だろうなと思っていたのですが、スタートしてみると途中用水路が暗渠になっていたりしたので用水の流れを見失ってしまったりということがあったり、はたまた用水路がめちゃくちゃ細い側溝かつその側溝が高速道路を横断するみたいな状況があり、その側溝を横目に迂回してなんとか最後の終着点までたどり着いたのでした。今のようにgoogle mapなどもない時代だったので、地図を片手に途中喧嘩などもしながら『冒険』をやりきったことは、今でもこころの中に残っているものです。
さて、本書『ぼうけん図書館 エルマーとゆく100冊の冒険』は冒険にまつわる本がたくさんまとまった冒険本の紹介本となっています。制作の経緯は、以前立川のPLAY! MUSEUMで開かれた「エルマーのぼうけん」展で、冒険をめぐるたくさんの本を集めて「ぼうけん図書館」をつくったら、大人から子どもまでが夢中になる、大人気のコーナーとなりそれを紹介本として一冊にまとめています。
心躍る冒険、ちょっぴりせつない冒険、汗だくの冒険、じっと考える冒険、特別な冒険、日常を生きるという冒険。物語のなかで主人公たちは、その冒険が大きくても小さくても、うまくいってもいかなくても、それぞれのやり方で自分の世界を広げていきます。勇気をもらい、元気をもらえる「冒険」をキーワードに、絵本、童話、児童小説から一生ものの100冊が集まっています。
子どもと、かつて子どもだったすべての人たちへ。
あなたのなかの冒険心をやさしく、ときどきはげしく揺さぶる「冒険」をエルマーと一緒に見つけに行きませんか。
最近「ぼうけん」してる? 思わず答えにつまったあなたに、この本を贈ります。
<目次>
1 ぼうけんは、すぐこそに
2 ぼうけんは、あこがれ
3 ぼうけんは、おもいやり
4 ぼうけんは、むちゅう
5 ぼうけんは、ぶきなどいらない
6 ぼうけんは、うつくしい
7 ぼうけんは、かっこわるくたっていい
8 ぼうけんは、だれもしらない
9 ぼうけんは、かんがえる
10 ぼうけんは、たのしくなくちゃ
永岡綾
編集者。ときどき、製本家。著書に『週末でつくる紙文具』(グラフィック社)、編著書に『本をつくるー職人が手でつくる谷川俊太郎詩集』(河出書房新社)。編集の仕事に『エルマーのぼうけん展』『谷川俊太郎 絵本★百貨典』『クマのプーさん展公式図録 百町森のうた』『アーノルド・ローベルの全仕事』などがある。