Exhibition No.1 : THE UNIVERSE
モノから広がった世界
デンマークの首都コペンハーゲンから飛行機を使って約30分で行くことのできるボーンホルム島。この島の不思議な魅力に惹かれ、足繁く通って早4年が経とうとしている。デンマークと言ったらフォーカスが当たるのは、決まって首都であるコペンハーゲンが常なのだが、そんな知る人ぞ知る、ボーンホルム島との結びつきを作ってくれたのが、本企画展でフォーカスを当てる陶芸アーティストOh Oak(オーオーク)のSarah Oakman(サラ・オークマン)氏だった。
実際にこのボーンホルム島に足を踏み入れると、「人」が全くいないことに驚かされる。ただただ広がる自然の中に島を取り囲むように集落とも言えるような小さな街が点在し、島が構成されている。耳を澄ませば、木々が風に靡く音や鳥の囀りが永遠に続くかのような世界なので、まるでどこか知らない惑星に一人取り残されてしまったような、そんな気さえするのだ。けれど街の中の車のエンジン音や雑音の中で生活している身としては、島を訪れる度にとても癒された気持ちにさせられるのだった。
彼女の作品は、どれも島の自然の色合いやテクスチャーから影響を受け、それを釉薬表現により忠実に表現している。本企画展では、その中から木星で3番目に大きい衛星『IO(イオ)』をモチーフに作陶されたベースを中心に彼女の“世界”を覗いてみたいと思っている。
島の自然美から宇宙へ、といきなり飛躍していったかと思うかもしれないが、本企画展の名称にもなっている『THE UNIVERSE』、つまり森羅万象とは、本来「あらゆる無数の物事のひと連なり」という意味を持ち合わせている。考えてみればボーンホルム島もあなたが今いるこの場所も一つの地球。そしてその地球も宇宙の一部なのだから、あながち間違ってはいないのだろう。
企画展に合わせて発行した冊子「The Islands Memories」には、ボーンホルム島での旅の記憶や島が持つスピリット(精神性)について写真や文章を編集・デザインしてまとめている。資本主義がいき過ぎてしまった現在の世の中で本来的で自然な関係性が営まれているこの島。少し大袈裟にいえば、ちょっと先の未来の風景がこの島にはあるのだと思うのだった。ぜひ、あなたの“世界”を広げるきっかけになったらとても嬉しい。
企画展『THE UNIVERSE』の挨拶に代えて。
面影 book&craft 店主・岩井 謙介
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Way of return to the nature
Oh Oakのプロダクトは、作陶の拠点にもなるデンマークのボーンホルム島の自然の色合いやテクスチャーから影響を受け、それを釉薬により忠実に表現しています。
自然からのインスピレーションが表現されたプロダクトを手にした人たちが、そこからまた次なるインスピレーションが生まれるようにと、プロダクトを通して、クリエイティビティの連鎖を作っていきます。それこそが、自然への回帰する道なのです。
Interview with Oh Oak
WORK TOGETHERの精神
デンマークとスウェーデンの間にある島、ボーンホルム島。陶芸をはじめ、多くのクラフツマンが移り住み、そこで自らの自己表現やものづくりに勤しむ場所として知られ、近隣のデンマークやスウェーデンはもちろんのこと、ドイツやポーランドから船でこの島に渡ってくる人も多く、夏はバカンスを楽しむ人で島は賑わうそうだ。朝晩はまだ肌寒く油断をすると風邪を引きかねない5月の時期に、年に一度のペースで私はこの島に滞在する。島の様子やそこで暮らす人に様々なインタビューをしてみると、活躍するジャンルが異なっても共通する精神は「WORK TOGETHER」だといえるだろう。
この島に足繁く通うきっかけを作ってくれたのがOh Oak(オーオーク)という陶器ブランドを立ち上げたセラミックアーティストのSarah Oakman(サラ・オークマン)。ボーンホルム島の自然の色合いやテクスチャーを表現したカップやお皿は、デンマークだけでなく日本でも人気で、その美しさに国境線はない。何を隠そう私自身がいちファンなのだ。彼女のプロダクトを首都のコペンハーゲンで手にしたその足で現地の郵便局に駆け込み、手元にあった制作を続けている自身のマガジンa quiet dayと殴り書きの文字で「会いたい」と手紙を書いて送ったことが、全てのきっかけだった。
その甲斐あってか、彼女への取材のためにボーンホルム島に行くことが叶った。Sarahのアトリエの近くの埠頭に佇む一軒のMOLENというレストランでは、彼女の作ったカップやお皿に料理が盛られて提供されていた。オーダーをして料理がサーブされるまでの間にウェイターの一人に「どうしてOh Oakの作品を料理に使っているのか」と疑問に思ったことを聞いてみるとウェイターは「MOLENはボーンホルム島で採れた食材を使っていて、料理でボーンホルム島を表現したいと思っているんだ。だから、料理を盛り付けるお皿なども、ありふれたものではなくて、ローカルのものを使うべきだと思うんだ。」と教えてくれた。料理と陶器でジャンルは異なるが、伝えていきたい想いや価値は共通するものがあり、お互いが補完し合いながら価値を見出していく。むやみやたらに大きく勝負せずに、まず自分の伝えていきたい価値に対してしっかりと向き合い続けていく。そして、それぞれの出来ることを持ち寄って新たな価値を作っていくこの「WORK TOGETHER」の精神を目の当たりにし、不思議と心が温まるような気持ちになった。
この島には13世紀頃に作られたHammershusという古城がある。現在では崩れかかった岩と石と少しばかりの城の面影が残るだけだ。18世紀にこの島に移り住んだ人たちのために古城で使っていた石を分け与えて家を作らせ、街を創ったという逸話もある。自分たちが置かれている状況をより良くするために、それぞれが持っているものを皆に分け与えていく考え方が現代まで受け継がれているのだろう。
誰かと何かをする時の姿勢で今、欠けてしまっているのはもしかすると、とても古いけれど私たちにとっては新しい考え方「WORK TOGETHER」なのかもしれない。そしてそれが、「共に生きていく」ということなのだろう。
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THE UNIVERSE
2021年12月11日(土)から、デンマークのボーンホルム島というところで活躍している陶芸アーティスト・クラフトマンでもあるOh Oakの作品にフォーカスを当てた展示「THE UNIVERSE」を開催します。
店主も毎年足繁く通って撮影したボーンホルム島の写真や島のスピリットなどを写真や文章でまとめた今回の展示に合わせて特別編集したマガジン「The Islands Memories」も限定販売します。
オンライショップでも連動して作品などを販売していきたいと思ってます。
会期 : 12/11(土) 12(日), 12/18(土) 19(日), 12/25(土) 26(日)
1/8(土) 9(日), 1/15(土) 16(日)
時間 : 12:00 - 18:00
場所 : 面影 book&craft(〒386-0012 長野県上田市中央1-6-19-1F 面影 book&craft)
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The 1st exhibition at Omokage book&craft “THE UNIVERSE” is held in December. We are focusing on Danishi ceramist and artist Oh Oak.
You should check her ceramic and that texture out, so maybe you will fall in love.
Date : 12/11(sat) 12(sun), 12/18(sat) 19(sun)
12/25(sat) 26(sun), 1/8(sat) 9(sun)
1/15(sat) 16(sun)
Time : 12:00 - 18:00
Place : 面影 book&craft
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